なぜ盗難可能なのか・犯行手口と必要な対策


コスト重視の大量生産がもたらす、整備性と部品の簡素化・共通化が弱点を生んでしまう

コストやリサイクル性の向上から、クルマは別の車種間での部品は簡素化・共通化(近似化)は進んでいます。この問題点は必然的にその構造も共通化してしまうといこと。 家庭用ドアのピッキング被害に例えてみましょう。これはなぜ起こったのでしょうか。それは大量のキーシリンダの構造が共通だからです。 一つの構造に対して解析し、弱点を見つけてしまえば全て同じ手口でいけるということです。 人気メーカーでは年間100万台のクルマを販売します。人気車種では月間1万台、年間10万台以上登録されてます。 同一構造のキーシリンダーはドアを開けやすく、同一構造のイモビライザーはエンジンをかけやすく、同一構造の純正セキュリティーは外しやすい、同一構造の室内パネルはカーナビを取り外しやすくしてしまう。 同じ構造のものが大量になるということは、解析側にとってターゲットが増えてしまうことになり、非常に有利となってしまいます。 メーカーが防盗性に積極的になれないのは、そもそもクルマは走る乗り物であり、量産によってコストを下げている商品です。個別構造にしたらコストはあがるばかりで競合車種に負けてしまうメーカーのジレンマもあるのです。

 

整備方法の完全マニュアル化・車両整備書・修理書、車両配線図が誰にでも簡単に入手できてしまう

ディーラーやネットオークションなどで誰にでも簡単入手できるそのクルマの修理書、車両配線図。これらの資料は各構造、電気回路、電気信号の位置などが見ることができてしまいます本来、専門業者が手にするものですが、これを手口解析書として悪用されてしまうのも事実です。

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モビライザーが完全な盗難防止装置という間違った認識

イモビライザーが完全な防犯装置と思い込んでいる方が多くおられます。イモビライザーはエンジンをかけにくくする装置。車上ねらいやいたずらには効果がありません。 また、上記の記事のように、同一構造という弱点があります。車両盗難自体は減少したものの、イモビライザー付のクルマも解析解除され、たくさん盗難されているのも事実です。 イモビライザー付のクルマが盗難されて保険申請をし、保険会社が「イモビライザーがついているから盗難できないはず」と、ユーザーと保険会社間のトラブルも一時多発し、保険会社が認めず、裁判に発展したケースもあります。 カギを紛失したとき、カギは比較的安易に複製ができます。もし複製が不可能だとししカギをなくしたとしたら、と大変なことになってしまいますね。同じくイモビライザーの解除する手段がなかったら?永遠にエンジンがかからなくなってしまいます。 最近ではイモビ付スマートキーやイモビライザー付のカギの紛失でも、カギ専門店では複製が可能となっています。そう、複製も可能ということです。

 

イモビカッター・キープログラマー・スマートキーアンプなどの新たな手口も確認(2016.1.18追記)

イモビカッター(イモビライザーID消去機)・キープログラマー(キー作成機)は本来、応急時やスペアキー作成などに開発されたもので専門業者しか入手できません。しかし、残念なことに流通のグローバル化により比較的入手が安易になってしまっているのが実情です。これらの機器を改造したりしてイモビライザーIDの消去や書き換え、キーの複製などが行われてしまっています。

また、最近スマートキー(電波キー)がクルマのキーの標準スタイルとなりつつあります。クルマの近くにいくと自動的にIDを照合して、開錠できる仕組みです。しかし、これも電波の特性を利用され、車とスマートキーが離れていても、クルマにキーが近くにあると誤認識させて、ドアの外部スイッチをタッチして通常操作のように開錠され破壊行為なくドアを開けられてしまいます。

 

純正オートアラームやオプションの盗難防止装置がついているから大丈夫?

これについても、構造の共通化・オプション部品が誰でも説明書付で購入できてしまう・配線図が誰でも入手可能という点が大きく懸念されます。多くの方々が「純正がついているからとりあえず安心」と思っているせいか、そこに目をつけての犯行か、被害後相談が多いです。本体・警報機・配線全て同じ場所にある訳ですから、車種別で手口が完全に確立されてしまっています。

 

保険を使いたくても使うと割高になるケースの発生

「保険で安心」と思いきや、等級で保険料UPが待っています。最も多い「車上ねらい」で被害額が5~20万円以下の場合、等級保護のため保険を使用しない方も多くいらっしゃいます。 少額で使用すると免責額の支払いでかえって高くついたり、今後の保険料が不利となるからです。保険内容では免責額発生や代車費用が出ないこともあります。 車両盗難の場合でも支払いは原則として時価となり購入に関わった全ての費用が支払われるとは限りません。前項にある「イモビ問題」の例もあり、審査・調査のため支払いまでにたくさんの時間を要すこともあるようです。 また被害後は通常、警察と保険会社へ連絡して現場検証や手続きとなるのですが、その調書や処理が”淡々と事務的”に行なわれます。詳しい説明や被害品の証明などに二度、三度と時間を費やされます。

 

保険でもカバーしてくれない事後の問題

警察や保険の担当者は仕事として多くの処理案件を効率的に処理していくわけですから、当然ながら同情なんてありません。心身共に疲れてしまう方も多く見受けられます。 また、今後同じ駐車場へ駐車することへの不安。さらに、侵入された形跡 があった場合は被害者にしかわからない違和感など、一度被害にあってしまうと非常に心配になってしまいます。

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→盗難防止対策とカーセキュリティ選びのポイント